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序盤、不気味なほど静かに進行して、永瀬正敏の漆塗りのシーンでは刷毛の音から漆のにおいまでしてきそうだった。
雪を踏みしめる音、感覚、映像美が胸に迫りつつも、それがまた不穏な感じがして…
はじめはそういう、ある種の「重苦しさ」に負けそうになったけど、これは単なる暗いミステリーとかサスペンスの類じゃないんだ、と気づいてからは前のめりで鑑賞。

少年行方不明事件を追いかけるルポライター(井浦新)の視線で物語は進行し、彼が容疑者の娘・小百合(菜葉菜)とその同居人の男(佐藤浩市)とトラブルを起こしてからは、少年の兄・一希(永瀬正敏)と小百合のぶつかり合いへと進んでいきます。

観客のほうも、そうやってどんどん人の記憶の奥底の傷や罪に深く潜り込んでいくのですが、それが恐ろしい、見たくない、という気持ちがある反面、快感というか…

小百合は、幼少期に悲惨な虐待を受けていて、大人になった現在も終始生活のあらゆる面が荒んでいて、精神的に不安定で恐ろしく、悪魔的なのですが、それを見ながら自分たちの悪魔性も自覚させられる感じがしました。
でもそれが、中毒性が高いと感じられます。怖いけど、また見たい。


結果的に、記憶を失っていた一希が思い出したのは、子どもだった自分もまた事件に小さく加担していたという恐ろしいもので。
「やっぱり」と思いつつも、あの映像・演出で見せられると、ものすごく怖かった。
一希の恐ろしさの一端を体感しているような。

同じく、当時傍観しているしかなかった小百合も、一希に対して「自分が被害者だと思ってるのか?」みたいなことを叫ぶシーンがありましたが、あれは自分自身にも刺さっただろうなあと心が痛かったです。

記憶って意外と曖昧というか、たぶん、普段から、都合よく書き換えたりしているのかもしれないと思いました。
そうしないと生きられない弱さが、きっと一希じゃなくても、こんな悲惨な経験じゃなくても、だれにでもあって。
でも自分の体験した真実はたしかに心の奥底にあって消えないから、小百合のように歪んだ人格になってしまったり、一希のようにどこか違和感を抱いたまま記憶を失ってしまったりする。

2/9(土)14:35~テアトル新宿の回を鑑賞したので、トークショーにも幸運にも参加できたのですが、甲斐さやか監督(初監督ですって!驚)が「最近はネットやSNSで調べればたいていのことはすぐ答えが見つかる。でも、すぐ答えを導き出してわかったつもりになるのは簡単だけど、わからない部分が実は大事。そういうことも言いたかったことのひとつ」(ニュアンス。間違ってたらすみません)とおっしゃっていて、自分もいろんな場面でそう思うので共感したし、印象的でした。

それと、客席から「タイトルの文字が赤じゃなく黒なのはどうしてですか」という質問が出たのですが、「赤も当然考えたが、いろいろとサンプルを検討していて、墨の滲むような感じが、記憶の滲む感じとマッチしていてこういうのもいいんじゃないかと思って」という甲斐監督の裏話も聞けました。

菜葉菜さんは、あの狂気の演技をたっぷり見た後なのに(笑)、ニコニコと明るくハキハキ話されていて、とても美しい方でした。
印象的な女優さん、最近どこかで拝見したなぁ、と思い出したら、ラストレシピの保育園の職員さんでした!!

そして永瀬さん。
10代のころから穏やかに好きな俳優さんで、私立探偵濱マイクはいまだに大好きすぎてたまに観ますし、全作品は網羅できてないですが「さくらん」「誘拐」「隠し剣 鬼の爪」「五条霊戦記」「PARTY7」「ELECTRIC DRAGON 80000V」「けものがれ、俺らの猿と」「スマグラー おまえの未来を運べ」とかとか、懐かしいなあっていう感じです。演技が好き&顔が好き。
濱マイクほんと好き。(うるせぇ)
初めて生で拝見しましたが、なんかもうオーラがすごい~~~
存在感が半端なかったです。
50すぎ?ウソでしょ?かっこよすぎ…と、客席からガン見する気持ち悪い奴でした。

サイン会ではお三方ともとっても優しくて、笑顔でサインしてくださいました。
目の前の永瀬正敏が素敵すぎてイケオジすぎて心臓止まりそうになりながら、ついつい話しかけてしまった。
緊張してなに言ってるかわかんねぇアラサー女なのに、笑顔で受け答えしてくださり、お願いしたら握手までしてくださり、優しすぎて感激しました…生きる

「赤い雪」二度、三度、どっぷりと浸りたい映画でした。また見に行く!