書も捨てず、町へ出る

強欲に生きていく

公式サイト:https://akaiyuki.jp/


序盤、不気味なほど静かに進行して、永瀬正敏の漆塗りのシーンでは刷毛の音から漆のにおいまでしてきそうだった。
雪を踏みしめる音、感覚、映像美が胸に迫りつつも、それがまた不穏な感じがして…
はじめはそういう、ある種の「重苦しさ」に負けそうになったけど、これは単なる暗いミステリーとかサスペンスの類じゃないんだ、と気づいてからは前のめりで鑑賞。

少年行方不明事件を追いかけるルポライター(井浦新)の視線で物語は進行し、彼が容疑者の娘・小百合(菜葉菜)とその同居人の男(佐藤浩市)とトラブルを起こしてからは、少年の兄・一希(永瀬正敏)と小百合のぶつかり合いへと進んでいきます。

観客のほうも、そうやってどんどん人の記憶の奥底の傷や罪に深く潜り込んでいくのですが、それが恐ろしい、見たくない、という気持ちがある反面、快感というか…

小百合は、幼少期に悲惨な虐待を受けていて、大人になった現在も終始生活のあらゆる面が荒んでいて、精神的に不安定で恐ろしく、悪魔的なのですが、それを見ながら自分たちの悪魔性も自覚させられる感じがしました。
でもそれが、中毒性が高いと感じられます。怖いけど、また見たい。


結果的に、記憶を失っていた一希が思い出したのは、子どもだった自分もまた事件に小さく加担していたという恐ろしいもので。
「やっぱり」と思いつつも、あの映像・演出で見せられると、ものすごく怖かった。
一希の恐ろしさの一端を体感しているような。

同じく、当時傍観しているしかなかった小百合も、一希に対して「自分が被害者だと思ってるのか?」みたいなことを叫ぶシーンがありましたが、あれは自分自身にも刺さっただろうなあと心が痛かったです。

記憶って意外と曖昧というか、たぶん、普段から、都合よく書き換えたりしているのかもしれないと思いました。
そうしないと生きられない弱さが、きっと一希じゃなくても、こんな悲惨な経験じゃなくても、だれにでもあって。
でも自分の体験した真実はたしかに心の奥底にあって消えないから、小百合のように歪んだ人格になってしまったり、一希のようにどこか違和感を抱いたまま記憶を失ってしまったりする。

2/9(土)14:35~テアトル新宿の回を鑑賞したので、トークショーにも幸運にも参加できたのですが、甲斐さやか監督(初監督ですって!驚)が「最近はネットやSNSで調べればたいていのことはすぐ答えが見つかる。でも、すぐ答えを導き出してわかったつもりになるのは簡単だけど、わからない部分が実は大事。そういうことも言いたかったことのひとつ」(ニュアンス。間違ってたらすみません)とおっしゃっていて、自分もいろんな場面でそう思うので共感したし、印象的でした。

それと、客席から「タイトルの文字が赤じゃなく黒なのはどうしてですか」という質問が出たのですが、「赤も当然考えたが、いろいろとサンプルを検討していて、墨の滲むような感じが、記憶の滲む感じとマッチしていてこういうのもいいんじゃないかと思って」という甲斐監督の裏話も聞けました。

菜葉菜さんは、あの狂気の演技をたっぷり見た後なのに(笑)、ニコニコと明るくハキハキ話されていて、とても美しい方でした。
印象的な女優さん、最近どこかで拝見したなぁ、と思い出したら、ラストレシピの保育園の職員さんでした!!

そして永瀬さん。
10代のころから穏やかに好きな俳優さんで、私立探偵濱マイクはいまだに大好きすぎてたまに観ますし、全作品は網羅できてないですが「さくらん」「誘拐」「隠し剣 鬼の爪」「五条霊戦記」「PARTY7」「ELECTRIC DRAGON 80000V」「けものがれ、俺らの猿と」「スマグラー おまえの未来を運べ」とかとか、懐かしいなあっていう感じです。演技が好き&顔が好き。
濱マイクほんと好き。(うるせぇ)
初めて生で拝見しましたが、なんかもうオーラがすごい~~~
存在感が半端なかったです。
50すぎ?ウソでしょ?かっこよすぎ…と、客席からガン見する気持ち悪い奴でした。

サイン会ではお三方ともとっても優しくて、笑顔でサインしてくださいました。
目の前の永瀬正敏が素敵すぎてイケオジすぎて心臓止まりそうになりながら、ついつい話しかけてしまった。
緊張してなに言ってるかわかんねぇアラサー女なのに、笑顔で受け答えしてくださり、お願いしたら握手までしてくださり、優しすぎて感激しました…生きる

「赤い雪」二度、三度、どっぷりと浸りたい映画でした。また見に行く!

■毎週火曜21:00~フジテレビ系列
■公式サイト
 https://www.ktv.jp/bokura/index.html

僕らは奇跡でできている 第9話・最終話感想/僕らは出会った人すべてでできている


相河先生→育美の想い


「面白いです」
この一言にすべては集約されているんだろうけど、ちょっと、もどかしいような、でも、人はそんなに急に変わらないことを思えば当然なのか。

山田さんとの
「鮫島先生は?」
「好きです」
「大地くんは?」
「好きです」
「じゃあ、水本先生は?」
「うーーーーーーーーん…」
のくだり、いや、悩む、ひとことで言えないところが、水本先生は他の人と違うんじゃないの!?って思いました。

樫野木先生だって間違ってはいない

最終回で感動したのは、樫野木先生に前回「相河先生を否定することで、何かごまかしていることがあるんじゃない?」ときつ〜い一言を放った鮫島教授が、生徒たちに樫野木先生の言葉を引用して諭したところ。

「やりたいことなんてそう簡単には見つからない。
なのに、やりたいことを探して何だか充実した気分になってしまったり、
やりたいことがない自分なんてだめだと自分を責めてしまう人がいるかもしれない」
それは相河先生を非難するための言葉だったけど、そこには真実もあって。
鮫島教授は、なるほどなと自分は思ったと言って、樫野木先生の考え方だって正解だと示した。

相河先生のあり方が正しい、樫野木先生はまちがってる、そんなことを言いたいドラマじゃないんですよね。
それぞれが、それぞれの持っているものを生かしきる。
それにあたって、時には間違えてしまったり、見えないことがあったりするけど、正解はひとつじゃないから、それぞれが何かになろうとするんじゃなく、そこで精一杯咲けばいいって言いたかったんですよね。

大河原さんはやっぱり…

山田さんはやっぱり母親だった…の次は、大河原さんは架空の存在だったという種明かし。
やっぱりな、という気がしつつも、ずっと優しくて悲しい嘘をつき続けた山田さんを思うと、そっちも嘘は可愛くて、でもそれがまたせつなくて。



終わり方は多少トンデモだったけど、それを差し引いても五つ星のドラマだった。
僕らは出会った人、もの、自然、すべて=奇跡でできている、当たり前のようだけど、忙しい毎日の中で立ち止まらせてくれる、そして癒されるドラマでした。

■毎週水曜22:00~ 日本テレビ
■公式サイト https://www.ntv.co.jp/kemonare/

獣になれない私たち 第3話~第6話感想/ラムなら甘いよ

だいぶ間が空いてしまいました、「けもなれ」の感想…
いや、3話くらいまでめちゃめちゃイライラしてたし、見るだけでしんどかった、このドラマ!

第1・2話の感想で書き殴りましたけど、ほんとうにガッキーに感情移入できなくてイライラしてた(笑)
…って知人男性に話したら、
「あー。イライラしちゃうんだ。ああいう人に」
って、私の器が小さいみたいに言われましたけど、だから何か?(笑)
自分に都合のいいときだけ「晶いなかったらストレスで死んでる~」とか言って甘える男、クズすぎる~
それで、呉羽と寝たこと、自分で耐えきれなくて晶に言っちゃうとか。
耐えきれなくなるようなことするなよな。
やるなら一生隠し通せよ。
晶の暗い部屋でうずくまって待って、ぼくちん悪い子なの晶をけなげに待つのってカァー!腹立つ!
根元の「晶さん男見る目あるね~」みたいなイヤミがほんと爽快だった。
あ、でもその知人男性、「おもしろいけど中身ないよねこのドラマ」とも言ってた。笑
まあ、ある意味、そうかもね!

だけど、4話から晶がかなり開き直ったね。
それはやっぱり根元と寝てもいいと思ったあたりからなのかな…
つくもオーフ!
ビールくらい好きに飲ませろ!
のあたり。
京谷がどんな男かも心の底ではわかってて、なのに別れられない、むりやり都合よく解釈してるだけってことも、晶はとっくに気づいてたんだね。

それに京谷も、居候の元カノに「彼女となんかあった?」と探りを入れられて、「話、聞いたげよっか?」と弱みにつけこんでこられて、「お前が言うな」と言い返すだけのマトモさはまだあったのね、そして5話ではついに家を出たじゃん!よしよし!
……と、マイナスから入ってるので、ゼロ地点に近づいてるだけの状態でも、よくやった、よくやった、と錯覚してしまうところがあります。

ところで根元と5tapのオーナーのおじさんが、晶が京谷と呉羽のことを怒ってるときに、
「状況は関係なく、誘われたらしちゃうよねえ(ニヤニヤ)」
と、晶の気持ちに完全に寄り添うわけではないけど、
「バカだねえ!バカ同士。バカバカしい!」
と、言い切ってくれる、そんな、ちょうどいい関係なのがとってもいい。
あの店のシーン見るとほんとクラフトビール飲みたくなる。まだ水曜なのに!

晶と根元のぎりぎりの友情もいい。
キスするかしないかの押し問答やばかったね。
「ラムなら甘いよ」に垣間見える征服欲と、簡単には許さないのに京谷のためにあっさり自分からキスする晶。
くーっ!

黒木華はイヤな女がうまい。

っていうか京谷の友達がマジできもくて無理。

京谷と晶の関係も、根元と呉羽の関係も、かなり濃厚になってきましたけど、やっぱり気になる根元の「悪いお金」!!
橘カイジのことをめちゃくちゃ探る根元かわいかったな…
次週はそっち側の話も進みそうだな~!

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